① 毎日している「歩く」という動作
歩くことは、私たちが毎日何気なく行っている動作です。
通勤する。
買い物に行く。
仕事で移動する。
家の中を歩く。
特別に意識しなくても、私たちは一日に何度も歩いています。
だからこそ、歩き方は身体の使い方を考えるうえで、とても大切な動作だと私は考えています。
「歩き方」と聞くと、
歩幅を広くする。
背筋を伸ばす。
かかとから着地する。
腕を大きく振る。
といった方法を思い浮かべる方もいるかもしれません。
もちろん、歩くときの身体の使い方を見ることは大切です。
ただ、私は「この歩き方が正しい」と一つの形を当てはめることはしていません。
なぜなら、人によって身体の状態も、生活環境も、身体の使い方も違うからです。
大切なのは、その人が実際にどのように歩いているのか。
左右で動きに違いはないか。
身体をどのように支えているのか。
脚だけでなく、骨盤や体幹、腕、首などがどのように連動しているのか。
そうした全体の動きを見ることです。
歩くという一見シンプルな動作にも、身体全体の使い方が表れます。
だから私は、歩き方を見ることも、その人の身体を知るための一つの方法だと考えています。
② 歩くときも、身体は一つにつながっている
歩くとき、「脚を前に出している」と考える方が多いかもしれません。
もちろん脚は歩くために重要です。
ただ、実際には脚だけで歩いているわけではありません。
足が地面につく。
膝が動く。
股関節が動く。
骨盤が動く。
体幹が身体を支える。
腕が振れる。
そして、その上にある首や頭も動きます。
歩くという一つの動作の中で、身体のさまざまな部分が連動しています。
例えば、歩くときに骨盤がうまく動かなければ、別の場所がその動きを補うことがあります。
体幹が安定しにくければ、脚や上半身に余分な力が入ることもあります。
左右で身体の使い方が違えば、歩き方にも違いが出てくることがあります。
だから私は、歩き方を見るときも「脚だけ」を見ることはありません。
足元から脚、骨盤、体幹、肩、腕、首まで、身体全体がどのようにつながって動いているのかを見ることを大切にしています。
これは、歩き方を無理に変えるということではありません。
まず、自分の身体がどのように動いているのかを知る。
そのうえで、動きにくいところや負担が集まっているところがないかを確認する。
身体全体の動きを見ることで、普段は気づかなかった身体の使い方が見えてくることがあります。
歩くという毎日の動作だからこそ、そこには身体の特徴が表れやすいのです。
③ 左右差があること自体が、悪いわけではない
歩き方を見るとき、左右の違いが気になることがあります。
右足と左足で踏み出し方が違う。
片方の腕だけ振りにくい。
骨盤の動きが左右で違う。
身体の傾き方が違う。
こうした左右差は、珍しいものではありません。
人の身体は、完全に左右対称ではありません。
利き手や利き足がありますし、仕事やスポーツ、普段の生活によっても身体の使い方は変わります。
そのため、「左右差がある=悪い」という単純な判断はできません。
私が大切にしているのは、その左右差によって日常生活で困っていることがあるのか、身体のどこかに負担が集中していないか、ということです。
例えば、以前は問題なく歩けていたのに、最近になって片側だけ疲れやすくなった。
歩くときに身体が大きく傾くようになった。
片側の足だけがつまずきやすくなった。
こうした「以前との変化」があれば、身体の使い方を見直すきっかけになります。
左右差を無理に揃えることが目的ではありません。
その人にとって、身体全体が無理なく協調して動けているかを見ることが大切です。
身体には、それぞれの人に違った特徴があります。
だからこそ、誰かの「正しい歩き方」をそのまま当てはめるのではなく、その人自身の身体の動きを見る。
私は、それが歩き方を考えるうえで大切だと考えています。
④ 歩き方は、日常生活の積み重ねでも変わる
歩き方は、生まれつき決まっているものではありません。
毎日の生活や仕事、運動習慣などによって、少しずつ変化していきます。
例えば、仕事で長時間座っている。
一日中立っている。
車に乗る時間が長い。
運動する機会が少ない。
いつも同じ側で荷物を持つ。
こうした生活の積み重ねが、身体の使い方に影響することがあります。
また、以前はよく運動していたけれど、最近は身体を動かす機会が減った。
仕事が変わって、座っている時間が増えた。
生活環境が変わって、歩く量が減った。
このような変化によって、身体の動かし方が以前とは違ってくることもあります。
だから、歩き方だけを見て「歩き方が悪い」と決めつけるのではなく、
「普段どんな生活をしているのか」
「以前と比べて何が変わったのか」
というところも見る必要があります。
身体は、その人の生活に合わせて使われています。
歩き方も、その生活の影響を受けています。
だからこそ、歩き方を見直すときには、歩いている姿だけではなく、その背景にある生活まで含めて考えることが大切なのです。
私は、身体の動きと生活は切り離せないものだと考えています。
⑤ 歩き方を変えることが目的ではない
歩き方について調べると、「正しい歩き方」という言葉をよく目にします。
歩幅を広くする。
背筋を伸ばす。
腕を大きく振る。
かかとから着地する。
こうした方法が紹介されることもあります。
しかし、私は「歩き方をこう変えればいい」と一つの形を当てはめることが目的ではないと考えています。
大切なのは、その人が今どのように歩いているのかを知ることです。
そして、
歩きにくいところはないか。
左右で違いはないか。
どこかに力が入りすぎていないか。
歩いたあとに特定の場所だけ疲れないか。
そうした身体の状態を確認することです。
例えば、歩き方を無理に変えようとして、かえって身体に力が入ってしまうこともあります。
「正しい歩き方をしなければ」と意識しすぎることで、自然な動きが失われることもあります。
だから私は、歩き方を無理に作るよりも、まず身体全体が動きやすい状態をつくることを大切にしています。
足だけを見るのではなく、脚、骨盤、体幹、肩、腕、首までを見る。
そして、その人が普段の生活の中で無理なく歩けることを目指す。
歩き方を変えることが目的なのではなく、歩くという日常動作を楽にすること。
そこに意味があると考えています。
⑥ 歩くことは、身体の状態を知る一つの方法
歩くという動作は、特別な道具を使わなくても、日常の中で身体全体を動かします。
だからこそ、歩いているときの身体を見ると、その人の身体の使い方が見えてくることがあります。
歩幅は左右で違わないか。
足を出しにくい側はないか。
身体が左右に大きく揺れていないか。
腕の振り方に違いはないか。
首や肩に力が入っていないか。
こうした動きを確認することで、普段は意識していなかった身体の特徴に気づくことがあります。
もちろん、歩き方だけで身体の状態をすべて判断できるわけではありません。
痛みの場所や身体の可動性、筋力、これまでの経過など、さまざまな情報を合わせて考える必要があります。
それでも、「歩く」という身近な動作を見ることには意味があります。
なぜなら、歩くことは特別な運動ではなく、ほとんどの人が毎日行っている動作だからです。
施術台の上で身体を動かすだけではなく、実際の生活でどのように身体を使っているのかを見る。
その一つとして、歩き方を見る。
私は、身体全体の動きを考えるうえで、歩くという動作を大切にしています。
普段何気なく歩いているからこそ、自分の身体の変化に気づくきっかけにもなるのです。
⑦ 歩くことが楽になると、生活も変わる
歩くことは、生活の基本的な動作です。
家の中を移動する。
買い物に行く。
仕事で歩く。
駅まで歩く。
旅行先を歩く。
趣味で外に出る。
こうした一つひとつの場面で、私たちは身体を使っています。
だからこそ、歩くことが少し楽になるだけでも、日常生活の感じ方は変わることがあります。
「長く歩くと疲れる」
「以前より歩くのが億劫になった」
「歩くと腰や膝が気になる」
「歩くときに身体が重い」
そうした変化があるなら、単純に「脚が弱くなった」と考えるのではなく、身体全体がどのように動いているのかを確認してみることも大切です。
足だけではなく、脚。
脚だけではなく、骨盤。
骨盤だけではなく、体幹。
そして、肩や腕、首まで。
身体は一つにつながって動いています。
私は、歩き方を無理に変えることを目的にはしていません。
その人の身体が無理なく動き、歩くという日常の動作を楽にできることを大切にしています。
痛みのある場所だけを見るのではなく、実際にその人が生活の中でどのように身体を使っているのかを見る。
そして、その人が仕事や家事、趣味などを少しでも楽に続けられる身体を考える。
それが、私が「歩く」という動作を見る理由です。
身体全体の動きが変われば、生活の動きも変わる。
私は、そんな視点から身体を見ています。