① 腰が痛いと、腰だけを気にしてしまう
腰が痛くなると、まず気になるのは「腰」です。
当然ですよね。
前にかがむと痛い。
立ち上がると痛い。
長く座っているとつらい。
歩いていると腰が重くなる。
痛みがある場所を何とかしたいと思うのは、ごく自然なことです。
実際に、腰を直接確認することも大切です。
ただ、私は腰痛の方を施術するとき、「腰だけを見ればいい」とは考えていません。
なぜなら、腰は腰だけで動いているわけではないからです。
座るときも、立つときも、歩くときも、身体をひねるときも、腰を含めた身体全体が動いています。
腰に負担がかかっているのであれば、
「なぜ腰に負担がかかっているのか?」
そこまで考えることが大切だと思っています。
痛い場所を見ることは、もちろん大切です。
でも、その痛みが出ている場所だけを見るのではなく、身体全体の動きまで見ていく。
それが、私が腰痛を考えるときに大切にしている視点です。
② 腰は身体の動きの中で使われている
腰は、毎日の生活の中で何度も使われています。
座る。
立つ。
歩く。
物を持つ。
かがむ。
身体をひねる。
こうした動作のたびに、腰だけではなく、骨盤や股関節、背中、お腹など、身体のさまざまな部分が一緒に動いています。
例えば、床にある物を拾うとき。
腰を曲げて拾うこともできますし、股関節や膝を使って身体を下げることもできます。
身体をひねるときも、腰だけを無理にひねるのではなく、背中や股関節などが一緒に動いています。
つまり、同じ「腰を動かす」という動作でも、身体の使い方によって負担のかかり方は変わります。
だから私は、腰痛を見るときに、
「腰がどのような状態なのか」
だけではなく、
「身体全体がどのように動いているのか」
を見るようにしています。
腰は身体の中心に近い場所にあります。
だからこそ、上半身と下半身の動きをつなぐ役割も担っています。
腰だけを切り離して考えるのではなく、身体全体の動きの中で腰を見る。
それが、腰痛を考えるうえで大切な視点だと私は考えています。
③ 座る・立つ・歩く・ひねる動作を見る
腰痛の方にとって、日常生活の中には身体の使い方を確認するポイントがたくさんあります。
例えば「座る」という動作。
椅子に座っているとき、身体がいつも同じ方向に傾いていないでしょうか。
背中を丸めていることが多くないでしょうか。
あるいは、片側に体重をかける癖がないでしょうか。
次に「立つ」という動作。
椅子から立ち上がるとき、身体のどこに力を入れているでしょうか。
腰だけを使って立ち上がっていないでしょうか。
「歩く」という動作もあります。
歩くときに左右の足を同じように使えているでしょうか。
身体がどちらかに傾いていないでしょうか。
そして「ひねる」という動作。
後ろを振り向くとき、腰だけをひねっていないでしょうか。
このように、腰痛があるからといって、腰の動きだけを確認するわけではありません。
座る、立つ、歩く、ひねる。
普段の何気ない動作を見ていくことで、「いつもどのように身体を使っているのか」が見えてくることがあります。
もちろん、これだけで腰痛の原因が決まるわけではありません。
人によって身体の状態も生活環境も違います。
だからこそ、一つの姿勢だけで判断するのではなく、その人の身体全体の動きを見ることが大切だと考えています。
④ 首・肩・お腹・股関節などとの関係
「腰が痛いのに、なぜ首や肩、お腹、股関節まで見るの?」
そう思われる方もいるかもしれません。
それは、身体が一つにつながって動いているからです。
例えば、身体をひねる動作を考えてみてください。
後ろを振り向くとき、腰だけをひねっているわけではありません。
背中や胸、肩、骨盤、股関節なども一緒に動いています。
また、長時間座っているときには、頭や首の位置、背中の丸まり、お腹や骨盤の位置なども関係してきます。
どこか一つの動きが小さくなれば、別の場所がその動きを補うこともあります。
その結果、身体の一部分に負担が集中することもあります。
だからといって、「腰痛の原因は首です」「お腹が弱いから腰痛になります」と単純に決めつけることはできません。
大切なのは、その人の身体が実際にどのように動いているのかを確認することです。
腰だけを見るのではなく、首、肩、背中、お腹、骨盤、股関節など、身体全体の動きを見ていく。
そして、それぞれがうまく協調して動けているのかを考える。
これが、私が腰痛の方を施術するときに大切にしている「身体全体を見る」という考え方です。
⑤ 「腰を守る」だけではなく「身体全体を動かす」
腰が痛いとき、「できるだけ腰を動かさないようにしよう」と考えることがあります。
痛みが強い時期には、無理をせず安静にすることも必要です。
ただ、痛みが落ち着いてきた後まで、ずっと腰をかばい続けることが良いとは限りません。
身体は動くことで、それぞれの部分が役割を果たします。
歩くときには脚だけではなく、骨盤や体幹も動きます。
振り向くときには、腰だけではなく、背中や胸、肩なども動きます。
物を持ち上げるときにも、脚や股関節、体幹などが一緒に働きます。
だから私は、「腰に負担をかけないこと」だけを考えるのではなく、「身体全体をうまく使えるようにする」ことも大切だと考えています。
腰だけに仕事をさせない。
動くべきところが動き、支えるべきところが支える。
身体全体が協調して動くことで、特定の場所に負担が集中しにくくなることがあります。
もちろん、痛みの程度や身体の状態によって、必要な対応は変わります。
だからこそ、「腰を動かしてはいけない」と一律に考えるのではなく、その人の状態を確認しながら、どのように身体を動かしていくのかを考えることが大切です。
腰を守ることだけを考えるのではなく、身体全体で動ける状態を目指す。
それが、私が大切にしている考え方です。
⑥ 日常生活の中で見直せること
腰痛があるとき、自分の身体の使い方を少し振り返ってみることも大切です。
例えば、
「長時間座り続けていないか」
「いつも同じ側に体重をかけていないか」
「立ち上がるときに腰だけに頼っていないか」
「歩くときに身体が左右どちらかに偏っていないか」
「振り向くときに腰だけをひねっていないか」
こうしたことを、普段の生活の中で少し意識してみてください。
ただし、すべてを一度に直そうとする必要はありません。
身体の使い方は、長い時間をかけて身についたものだからです。
まずは「自分はどう動いているのだろう?」と気づくこと。
それだけでも、身体を見る目は変わってきます。
そして、痛みがあるときには無理に動きを変えようとせず、自分の状態に合わせて専門家に相談することも大切です。
腰痛といっても、痛みの出方や身体の状態は人それぞれです。
だから私は、決まった「正しい動き」を全員に当てはめるのではなく、その人の身体と生活に合わせて考えることを大切にしています。
毎日の動きを少し振り返る。
そこから、自分の身体を知ることが始まります。
⑦ 私が腰痛を見るときに大切にしていること
腰が痛ければ、まず腰の状態を確認する。
これは当然、大切なことです。
ただ、私が腰痛の方を施術するときに大切にしているのは、「腰だけを見ること」で終わらせないことです。
腰は、座る、立つ、歩く、かがむ、ひねるなど、毎日のさまざまな動作の中で使われています。
その動きには、首や肩、背中、お腹、骨盤、股関節、脚など、身体のいろいろな部分が関わっています。
だから私は、
「どこが痛いのか?」
だけではなく、
「なぜそこに負担がかかっているのか?」
「普段、身体をどのように使っているのか?」
というところまで見ていきます。
痛みのある場所だけを一時的に楽にするのではなく、身体全体の動きを確認し、その人の生活の中で無理なく身体を使える状態を考える。
それが、私が施術をするうえで大切にしていることです。
腰痛を繰り返している方は、「また腰が悪くなった」と考えるだけではなく、一度、自分の身体の使い方にも目を向けてみてください。
座り方。
歩き方。
立ち上がり方。
身体のひねり方。
毎日何気なく行っている動作の中に、自分では気づいていない身体の使い方があるかもしれません。
痛い場所だけを見るのではなく、身体全体を見る。
そして、その先にある「仕事や家事を問題なくこなせる身体」「生活シーンで楽に動ける身体」を考える。
それが、私が目指している腰痛への向き合い方です。