① 身体は「繰り返し」によって変わっていく
私たちの身体は、毎日同じような動きを繰り返しています。
朝起きて、立ち上がる。
歩く。
椅子に座る。
仕事をする。
家事をする。
そして、また眠る。
一つひとつは何気ない動作ですが、それを毎日、何年も繰り返しています。
身体は、こうした繰り返しの中で少しずつ「いつもの動き」を作っていきます。
最初は意識していた動きでも、何度も繰り返しているうちに、意識しなくてもできるようになります。
これは、とても便利な身体の仕組みです。
一方で、身体にとって負担のかかる動きや姿勢も、毎日繰り返していれば、それが「いつもの動き」になってしまうことがあります。
例えば、いつも同じ側に身体を傾けて座る。
いつも同じ方向を向いて作業する。
歩くときに、身体の一部分だけに頼ってしまう。
こうした小さな積み重ねが、身体の使い方を作っていきます。
だから私は、身体の不調を考えるとき、「今どこが痛いのか」だけではなく、「普段どのように身体を使っているのか」も大切だと考えています。
身体は、毎日の積み重ねによって作られていくからです。
② 毎日の何気ない動作が身体に影響する
身体の使い方というと、「姿勢が悪いから直しましょう」と考える方も多いと思います。
もちろん姿勢は大切です。
しかし、私はそれだけではないと考えています。
例えば、仕事で長時間座っている人。
毎日同じようにパソコンに向かい、同じような姿勢で何時間も過ごします。
家事をする人も、掃除や洗濯、料理などで、立つ、しゃがむ、腕を伸ばす、身体をひねるといった動作を何度も繰り返します。
車を運転する人なら、座った状態で長時間同じ姿勢を続けることになります。
一つひとつの動作は、決して特別なものではありません。
問題は、それを毎日繰り返していることです。
例えば、座るときにいつも身体を少し右に傾けているとします。
一回だけなら、それほど大きな問題にはならないかもしれません。
しかし、それを毎日、何時間も繰り返していたらどうでしょうか。
身体にとっては、それが「いつもの使い方」になっていきます。
だからこそ、私は「姿勢が悪い」という一言だけで身体を判断しないようにしています。
大切なのは、その人がどんな生活をしていて、どんな動きを毎日繰り返しているのか。
身体は、特別な運動だけで作られるものではありません。
毎日の何気ない動作の積み重ねによっても、少しずつ変わっていくのです。
③ 「正しい姿勢」だけでは解決しない理由
「姿勢を良くしましょう」
身体の不調について考えるとき、よく聞く言葉です。
確かに、姿勢を整えることは大切です。
ただ、私は「正しい姿勢を覚えれば、それだけで身体の問題が解決する」とは考えていません。
なぜなら、人は一日中、同じ姿勢で過ごしているわけではないからです。
座る。
立つ。
歩く。
振り向く。
物を持つ。
階段を上る。
仕事をする。
家事をする。
私たちは一日の中で、たくさんの動作をしています。
大切なのは、ある一瞬の姿勢だけではなく、「その人が生活の中で身体をどう動かしているのか」です。
例えば、座っている姿勢をきれいにできたとしても、立ち上がるときにいつも同じ場所へ負担をかけていたら、身体の使い方そのものは変わっていないかもしれません。
また、良い姿勢を意識しすぎて、身体に力が入りすぎてしまうこともあります。
だから私は、「正しい姿勢を作る」ことだけを目的にはしません。
その人が仕事や家事、歩く、座る、振り向くといった日常の動作を、できるだけ無理なく行えること。
そこまで含めて身体の使い方を考えることが大切だと思っています。
身体は、写真のように一瞬で見るものではなく、動きの中で見るもの。
それが、私が身体を見るときに大切にしている考え方です。
④ 痛みがなくなっても、元の使い方に戻れば繰り返す
施術を受けて、痛みが楽になる。
これは、とても大切なことです。
痛みが強いと、仕事や家事、睡眠など、普段の生活にも影響します。
だからまず、つらい状態から身体を楽にすることが必要です。
ただ、ここで一つ考えておきたいことがあります。
「痛みがなくなったら、身体の問題はすべて終わりなのか?」
私は、そうとは限らないと考えています。
なぜなら、痛みが出る前と同じ身体の使い方に戻れば、また同じ場所に負担がかかる可能性があるからです。
例えば、長時間座ることで腰に負担がかかっていたとしても、腰が楽になったあとに、また同じ姿勢で長時間仕事を続ければ、身体にかかる負担そのものは変わっていません。
これは「悪いことをしている」という意味ではありません。
仕事や家事など、変えられない生活もあります。
だからこそ、「姿勢を良くしなさい」と言うだけではなく、その人の生活の中で、どうすれば身体を無理なく使えるのかを考える必要があります。
痛みを楽にする。
そして、身体の使い方を見直す。
この二つは、どちらも大切です。
私は、施術を「その場で楽にすること」だけで終わらせず、その後の生活まで考えることが大切だと思っています。
⑤ 身体の使い方を変えるにはどうするか
では、身体の使い方を変えるには、どうすればいいのでしょうか。
私は、「正しい動きを一度教えてもらえば、それで終わり」というものではないと考えています。
身体は、今まで何年も繰り返してきた動きを覚えています。
だから、新しい身体の使い方を身につけるにも、やはり繰り返しが必要です。
スポーツ選手を考えてみても分かります。
一流の選手でも、自分の動きを確認するためにコーチから指導を受けたり、フォームを修正したりします。
「もう上手だから、もう見てもらわなくていい」ということにはなりません。
身体の使い方は、環境や体力、仕事、年齢などによっても変わっていくからです。
日常生活でも同じです。
今まで何気なくしていた座り方や歩き方を少し見直してみる。
身体をひねるときに、腰だけに頼っていないか確認してみる。
首や肩だけで頑張っていないか見てみる。
そうした小さな気づきの積み重ねが、身体の使い方を変えていきます。
そして、最初は意識していたことでも、繰り返していくうちに自然な動きになっていきます。
だから私は、身体の改善には「気づくこと」と「繰り返すこと」の両方が大切だと考えています。
一度変えるのではなく、身体に新しい使い方を覚えてもらう。
それくらいの時間をかけて、自分の身体と向き合うことが大切なのだと思います。
⑥ 私が施術で日常生活を見る理由
私が施術をするとき、痛みのある場所だけを確認して終わりにはしません。
その方が普段、どのように身体を使っているのかを見ることを大切にしています。
例えば腰が痛い方であれば、
どのように座っているのか。
立ち上がるときに、どこに力を入れているのか。
歩くときに身体がどう動いているのか。
身体をひねるときに、腰だけで動いていないか。
首や肩、お腹や体幹はどのように働いているのか。
そうした動きを確認していきます。
なぜなら、施術の時間よりも、患者さんが実際に身体を使っている時間の方が圧倒的に長いからです。
仮に施術の時間に身体が楽になっても、残りの時間で毎日同じ負担を繰り返していたら、身体はまた元の使い方に戻ってしまうかもしれません。
だからこそ、私は「施術で身体を整えること」と「日常生活で身体をどう使うか」は、切り離して考えないようにしています。
身体の状態を確認し、動きを整える。
そして、その人の生活の中で無理なく使える身体を考える。
それが、私が施術で日常生活を見る理由です。
⑦ 生活シーンを楽にする身体へ
身体は、毎日の生活の中で使われています。
座る、立つ、歩く、仕事をする、家事をする。
そうした何気ない動きを毎日繰り返すことで、身体は少しずつ「いつもの使い方」を覚えていきます。
だからこそ、身体の不調を考えるときには、痛みのある場所だけを見るのではなく、その人が普段どのように身体を使っているのかを見ることが大切だと私は考えています。
痛みを楽にすることはもちろん大切です。
でも、その先にある「仕事や家事を問題なくこなせる身体」「日常生活を少しでも楽に動ける身体」まで考えていきたい。
そのためには、一度身体を整えて終わりではなく、自分の身体がどのように動いているのかを知り、必要に応じて見直していくことも大切です。
身体の使い方は、長い時間をかけて身についたものです。
だから、変えていくことにも時間がかかることがあります。
焦らず、繰り返し確認しながら、自分にとって無理のない身体の使い方を身につけていく。
私は、それが「身体を良くする」ということの一つだと考えています。
痛い場所だけを見るのではなく、身体全体を見る。
そして、治療の時間だけではなく、その人の生活まで見る。
「生活シーンを楽にする身体へ」
それが、私が施術をするうえで大切にしている考え方です。