① なぜ体操を始めたのか
私が体操競技を始めたのは、学生の頃です。
きっかけは、今となっては特別な理由があったわけではありません。
ただ、実際にやってみると、体操という競技は「ただ身体が柔らかい」「力が強い」だけではできないことが分かってきました。
自分の身体を思い通りに動かすためには、力の入れ方、身体の位置、バランス、タイミングなど、いろいろなことを同時に意識する必要があります。
最初から身体のことを深く考えていたわけではありません。
それでも、練習を繰り返す中で、
「同じ動きをしているつもりなのに、なぜ今日はうまくできないのか」
「少し身体の使い方を変えるだけで、なぜ動きやすくなるのか」
そんなことを少しずつ考えるようになりました。
振り返ってみると、この6年間が、私が「身体の使い方」に興味を持つ原点だったのだと思います。
そして、この経験は現在の施術にもつながっています。
② 体操では身体のどんな能力を使うのか
体操競技では、身体のさまざまな能力を使います。
柔軟性、筋力、バランス、身体の位置を感じ取る感覚、そして動くタイミング。
どれか一つだけが優れていても、うまく演技することはできません。
例えば、身体が柔らかくても、それを支えるだけの力がなければ安定した動きにはなりません。
逆に、力があっても身体の位置やバランスをうまくコントロールできなければ、思ったように動くことはできません。
つまり、体操では「身体の一部分」ではなく、身体全体を協調させて動かす必要があります。
手を動かすときには肩や背中が関係し、脚を動かすときには骨盤や体幹も関係する。
一つの動きの中で、身体のいろいろな部分がつながって働いています。
6年間の体操競技を通して、私は少しずつ「身体は部分ではなく、全体で動いている」ということを実感するようになりました。
そして、この感覚が、現在の私の身体を見る視点の土台になっています。
③ 体操競技6年で、自分が感じたこと
体操競技を6年間続けて、一番感じたのは、「身体は繰り返した動きを覚えていく」ということです。
最初は意識しないとうまくできなかった動きも、何度も練習しているうちに、少しずつ自然にできるようになっていきます。
逆に言えば、間違った動きを繰り返せば、その動きも身体に身についてしまいます。
当時はそこまで深く考えていませんでした。
ただ、練習を繰り返す中で、同じ技でも身体の使い方を少し変えるだけで、動きやすくなったり、逆に動きにくくなったりすることを経験しました。
「力を入れる場所を少し変える」
「身体の向きを少し変える」
「タイミングを少し変える」
それだけで、身体全体の動きが変わることがあります。
これはスポーツだけの話ではありません。
日常生活でも、私たちは毎日同じような姿勢や動きを繰り返しています。
座る、立つ、歩く、振り向く、物を持つ。
そうした何気ない動作も、毎日繰り返していれば、身体にとっては「いつもの動き」になっていきます。
体操競技を通して身体を動かしてきた経験は、現在の私が「痛み」だけではなく、「その人が普段どのように身体を使っているのか」を見るきっかけになりました。
④ 体操で身についた「身体を見る視点」
体操を続けていると、ただ「できた」「できなかった」だけではなく、
「なぜ、この動きはうまくいったのか」
「なぜ、今日は動きにくかったのか」
ということを考えるようになります。
例えば、同じ技をしているのに、少し身体の位置が違うだけで動きが変わることがあります。
足の向き、骨盤の位置、体幹の安定、肩や首の使い方。
一つの動きでも、いろいろな部分が関係しています。
その経験から、私は身体を見るときに、「痛いところ」や「動きにくいところ」だけを見るのではなく、その動きの前後まで見ることが大切だと感じるようになりました。
身体は、それぞれの部分が独立して動いているわけではありません。
どこかの動きが変われば、それを補うように別の場所が動くこともあります。
もちろん、体操競技を6年間経験しただけで、身体のすべてが分かるわけではありません。
ただ、自分自身の身体を使い、失敗し、修正し、また繰り返してきた経験は、今の私が身体を見るうえでの大切な土台になっています。
「この痛みは、痛い場所だけを見ればいいのだろうか?」
そう考えるようになったのも、こうした経験があったからだと思います。
⑤ その経験が現在の施術にどうつながっているか
体操競技を通して身についた「身体を全体で見る」という視点は、現在の施術にもつながっています。
例えば、腰が痛いという場合。
もちろん、まずは腰の状態を確認します。
しかし、腰が痛いからといって、必ずしも問題が腰だけにあるとは限りません。
座っているときの姿勢はどうなのか。
歩くときに身体をどう使っているのか。
首や肩はどのように動いているのか。
お腹や体幹はうまく使えているのか。
身体をひねるときに、腰だけで動こうとしていないか。
そうした日常の動きを一つひとつ見ていくと、痛みが出ている場所とは別のところに、身体の使い方の特徴が見えてくることがあります。
私が施術で大切にしているのは、痛みのある場所だけを一時的に楽にすることではありません。
その方が普段どのように身体を使い、どこに負担がかかっているのかを考えながら、身体全体の動きを整えていくことです。
体操をしていた頃は、演技をうまくするために身体の使い方を考えていました。
今は、仕事や家事、歩く、座る、振り向くといった日常生活を少しでも楽にできるように、身体の使い方を見ています。
競技は違っても、「身体全体を見て、動きを整える」という考え方は、私の中でつながっています。
⑥ スポーツをしていない人にも役立つ理由
ここまで体操の話をしてきましたが、身体の使い方はスポーツをする人だけに必要なものではありません。
むしろ、私たちは毎日の生活の中で、身体を使わない日はありません。
朝起きて、立ち上がる。
歩く。
椅子に座る。
パソコンやスマートフォンを見る。
掃除や洗濯をする。
仕事で同じ姿勢を続ける。
買い物の荷物を持つ。
こうした何気ない動作も、すべて身体の使い方です。
そして、スポーツと同じように、日常生活でも同じ動作を何度も繰り返します。
例えば、長時間座る仕事をしている人なら、毎日何時間も同じ姿勢を続けることになります。
家事をする人なら、立ったりしゃがんだり、身体をひねったり、腕を使ったりする動作を何度も繰り返します。
そのため、身体にとって「普段どのように動いているか」は、とても大切です。
私は、身体の使い方を見直すことは、スポーツをしている人だけのものではないと考えています。
「仕事や家事を問題なくこなしたい」
「歩くのを楽にしたい」
「長時間座っていてもつらくなりにくい身体にしたい」
そうした日常生活の中にも、身体の使い方を見直す意味があります。
だからこそ私は、身体を見るときに「スポーツをしているかどうか」ではなく、「普段、どのように身体を使っているのか」を大切にしています。
⑦ 痛い場所だけを見るのではなく、身体全体の動きを見る
体操競技を6年間経験したことは、私にとって身体について考えるきっかけになりました。
もちろん、体操競技と日常生活では、身体の使い方は大きく違います。
しかし、「身体は一部分だけで動いているわけではない」ということは共通しています。
腰が痛いから腰だけ。
首が痛いから首だけ。
肩がこるから肩だけ。
そうやって痛い場所だけを見てしまうと、その人がなぜそこに負担をかけているのかが見えなくなることがあります。
だから私は、痛みのある場所だけではなく、その人が普段どのように身体を使っているのかを見るようにしています。
座り方。
歩き方。
首の動かし方。
お腹や体幹の使い方。
腰をひねるときの動き。
一見すると痛みとは関係なさそうな動きでも、身体全体で見ていくと、つながっていることがあります。
そして、身体は毎日の動きを繰り返しています。
良い動きも、負担のかかる動きも、繰り返せば身体にとって「いつもの動き」になっていきます。
だからこそ、一度楽になったら終わりではなく、その後も自分の身体がどのように動いているのかを知ることが大切だと私は考えています。
体操競技で自分の動きを何度も確認したように、日常生活でも身体の使い方を見直していく。
それが、私が現在の施術で大切にしている考え方です。
痛みのある場所だけを見るのではなく、その人の生活の中で、身体全体がどう動いているのかを見る。
「生活シーンを楽にする身体づくり」。
それが、私がこれまでの経験から大切にしている施術の考え方です。